加圧脱泡用タンクを作ってみた

やってみた

5/19追記:管用ねじには日本管用「PT」とアメリカ管用「NPT」があり、このタンクはNPT規格でした。この記事はPTの継ぎ手とかタップ使ってたりで、そこそこ危険な内容になっています。
いるかどうかわかりませんが、マネされる方はNPT規格のものを使用するようにしてください。

 海外ハンドクラフト勢がharbor freight(Central Pneumatic)の塗装用圧力タンクを加圧脱泡用のタンクに使用しているをyoutubeでよく見かけるが、簡単にできそうだったので作ってみた。

注意:圧力タンクは危険なものです。同じ手順で作業しても安全は保障できません。

材料

 harbor freightは海外発送をしていないので、輸入代行のplanet expressを使って個人輸入した。planet expressはUIが今風で使いやすいし、購入代行もあるし、配送がfedexになってしまって割高になること以外は気に入っている。
 今回は固着がひどかったので既存の継ぎ手を流用しなかったが、流用できればもっと安くできると思う。

品名購入先価格
2-1/2 Gal. Air Pressure Paint Tank
(税金、輸入代行先までの送料も含む)
harbor freight$115.49
個人輸入費用(planet express)
20ポンドの荷物をアメリカから日本に送るための費用
$69.29
PT1/4外ネジ用プラグAmazon\389
PUチューブホースパイプ 13mm直径 1M Amazon\1,044
BIGM(丸山製作所) ボールコック φ8.5 (G1/4 8.5mm)Amazon\1,477
黄銅製ねじ込継手(オスR3/8,メスR1/4 )  近所の島忠\680
黄銅製ねじ込継手 (オスR1/4,メスR1/4 ) 近所の島忠\300
黄銅製ねじ込継手 (メスR1/4,メスR1/4 ) 近所の島忠 \680
黄銅エンドキャップ 近所の島忠 \300
テフロンテープ(8mmなど細いものを) 近所の島忠 \300

合計金額:25,496円

分解

 この製品はシーリングがいい加減で高確率で空気漏れが起こるので、 シーリングし直すために一度全部分解する。ねじの直径は13mm(3/8)と8.5mm(1/4)の一般的な配管用継ぎ手が使用されているので、それにあったスパナ、モンキーレンチなどを使用して外す。(モンキーレンチがやり易かった) 個体差はあると思うがかなり固着しているので、ねじを壊さないように注意。

 蓋の裏側(タンク内側)についているペンキ吸出し用の管は不要なので取り外しておく。

この管も固着していたりするが、管を万力で挟んで蓋を回せば楽に外せる

ねじ穴を タップして掃除

 ねじ穴に最初のシーリング材のカスが残ったままだとうまくねじ込めないので、配管用(ガス管用)タップ(1/4,と3/8)でねじ穴を掃除する。タップがなければAmazonなどで購入するしかないが、2つで4,000円程度で購入できる。
 既存の継ぎ手や安全弁を再利用するときは継ぎ手側のねじも掃除しておく。こっちはねじ切りダイスがなくても、尖ったものがあればなんとかなるかも?
ねじがスムーズに入るようになるまで掃除すること。

高い&この先数年間は使わない工具。直径が8.5mmm/13mmなのででかい。

シーリング&組み立て

テフロンテープでねじをシーリング

 テフロンテープを継ぎ手や付属の圧力計のねじ山に巻く。 1山目は飛ばして2山目あたりから巻き、巻く方向はねじを締めこむのと同じ時計回りににすること。逆に巻くとねじ込んだ時にテフロンテープが捲れあがってシーリングがうまくできない。時計回りに5,6周巻いたら、指でよく押さえてねじになじませる。

組み立て

 継ぎ手はねじ込み始めたら途中で戻したりしないこと。戻すとテフロンテープが捲れてシーリングがうまくできなくなる。 締め付けトルクまでは厳密に測らなくてよいと思うが、緩かったり、締め過ぎにならないように注意する。


蓋のゴムパッキンの清掃

 蓋の裏にシリコンっぽいゴムのパッキンがついているが、ごみが付着していたりすると空気漏れの原因になるので清掃する。材料リストには書いていないが、使用前にパッキン部分にシリコングリスや代用としてワセリンを塗布すると空気漏れの防止になる。

できれば交換したいが…

テスト

 まずは10psi程度の低い圧力をかけて蓋の合わせ目や継ぎ手から空気が漏れていないか確認する。(音がするので分かる)
大きな漏れがなければ、安全弁の動作を確認する。安全弁を手で動かして(リングを引っ張り上げる)空気が抜けるか確認する。手で動かして空気が抜けないなら壊れているので交換すること。

安全弁は定期的に動作確認しよう

 安全弁も問題なければ10psi程度の圧力をかけた状態で2,3時間放置して小さな空気漏れがないか確認する。空気漏れがあれば圧力が下がるので圧力計を見ればわかる。

空気漏れの対処

 継ぎ手のシーリング部分、蓋とタンクの継ぎ目など漏れていそうな箇所に石鹸水などを塗って空気漏れを探す。

  • 継ぎ手部分から漏れているなら、ねじをさらに締めてみる。それでもだめなら空気を抜き、ねじを一度外してテフロンテープを巻くところからやり直す。
  • 蓋とタンクの継ぎ目から漏れているなら、一度蓋を締める4つのねじを締め直す。対角締めにするなどして締め方に偏りがないようにすること。それでもだめならパッキンに異常がないか、タンクのフチに大きな凹凸がないか確認する。タンクのフチに大きな凹凸があるときは目の細かいサンドペーパーで削り取るのがよいが、まずはシリコングリス、ワセリンの塗布を試してみることをおすすめする。
  • タンク本体の継ぎ目から漏れることはないと思うが、メーター、安全弁の故障で漏れているなら交換するしかない。

使ってみる

 この容器は最大で60psiまで圧力がかけられることになっているが、脱泡は30~40psiあれば十分なので、圧力を上げすぎないように注意する。
 脱泡の効果を見るために日新レジンのクリスタルレジン(可使時間60分)で実験してみたが、気泡も入らずよい仕上がりとなった。

日新レジンのホビーキャストNX(可使時間が120秒) で脱泡あり・なしの比較。光をあてるとよく分かるが、加圧脱泡したほうは気泡が入ることもなく綺麗に仕上がった。

やってみた感想

おすすめ度:★★☆☆☆

 作業自体は難しくないが、配管用ねじのタップなんて大体の人がもっていないから買わないと作業ができないし、諸々含めると割高になってしまう。$360(送料込)ほどでCalifornia Air Toolsの同じサイズの脱泡用タンクが買えてしまうのでコスパ的に微妙かも。California Air Tools(またはC.A. Technologies)のタンクのほうが使い勝手も性能も良いらしいので、1万円程度の差が気にならない、固着したねじと格闘したくない人には自作するよりCalifornia Air Toolsのタンクをおすすめしたい。

余談:真空脱泡 v.s. 加圧脱泡

 空気が抜けやすい型ならどっちでも変わらないと思う。
自分のように空気抜きの作り方がへたくそで型の中に空気がたまりやすい型を作ってしまう人には加圧脱泡のほうがいいかもしれない。真空脱泡の場合、気泡が大きくなるので中にたまった気泡にレジンが押されて流れ出てしまったりするが、加圧脱泡の場合は気泡は小さくなるので押し出されることもなく、へっぽこ型でもそこそこの仕上がりになる。
 真空脱泡機はタンクが破裂したりしないし、真空ポンプのほうがコンパクトで騒音も少なかったりするので真空脱泡も悪くないと思う。(実は真空脱泡機も持っていたりする)

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